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法人税を軽減する中小企業向け特例制度の活用ポイント

「税金は会社の利益の分だけ取られるもの…」そう思っていませんか?確かに法人税は、企業の利益に対して課税される税金ですが、中小企業にはその負担を軽減するための様々な特例制度が用意されています。これらの制度を賢く活用することで、納税額を抑え、会社の資金を有効活用することが可能です。

この記事では、粗利1億〜10億円規模の中小企業経営者・財務責任者の方に向けて、法人税を軽減するための特例制度について、その基本的な内容から活用する上でのポイントまでを分かりやすく解説します。「制度の名前は聞いたことがあるけれど、うちの会社で使えるのか分からない」「実際にどう活用すれば良いのかイメージできない」といった疑問をお持ちの方は、ぜひお読みください。

中小企業に対する法人税の特例とは?

中小企業に対する法人税の特例とは、一定の条件を満たす中小企業に対して、通常の法人税法とは異なる税率や税額控除などの優遇措置を適用する制度の総称です。これらの特例制度は、中小企業の経営基盤の強化や成長促進を目的として設けられています。

なぜ中小企業に税制優遇があるのか

中小企業は、地域経済や雇用を支える重要な役割を担っています。しかし、大企業と比較して経営資源が限られている場合が多く、景気変動の影響を受けやすいという側面もあります。そのため、税制面で優遇措置を講じることで、中小企業の成長を後押しし、経済全体の活性化を図るという目的があります。

制度の背景と目的(中小企業基本法との関連など)

中小企業基本法では、中小企業を「事業を主たる事業とする法人であって、資本金の額若しくは出資の総額が3億円以下のもの又は常時使用する従業員の数が300人以下のもの」などと定義しています。法人税の特例制度も、多くはこの定義に合致する中小企業を対象としています。これらの制度は、中小企業の設備投資の促進、雇用機会の創出、技術開発の支援など、様々な政策目的を達成するために設けられています。

特例を活用することの経営上のメリット

法人税の特例制度を活用することは、中小企業にとって以下のような経営上のメリットをもたらします。

  • 納税額の減少: 直接的に税負担が軽減され、手元に残る資金が増えます。
  • 資金の有効活用: 減少した納税額を、設備投資、人材育成、研究開発などに充てることができます。
  • 経営基盤の強化: 資金的な余裕が生まれることで、経営の安定化や事業承継への備えが可能になります。
  • 成長意欲の向上: 税制優遇措置を追い風に、積極的な事業展開を検討しやすくなります。

具体的な法人税の特例制度と適用条件

それでは、中小企業が活用できる主な法人税の特例制度とその適用条件、節税効果、注意点について具体的に見ていきましょう。

中小企業等投資促進税制

制度の概要: 中小企業者等が、一定の期間内に、一定の機械装置、測定機器、検査機器、器具備品、建物、建物附属設備、ソフトウェアなどを取得した場合に、特別償却(取得価額の30%)または税額控除(取得価額の7%)のいずれかの適用を受けることができる制度です。

  • 誰に有効か: 生産性向上や業務効率化のために設備投資を検討している中小企業
  • 適用条件:
    • 青色申告書を提出する中小企業者等であること(資本金1億円以下の法人など)
    • 指定された期間内に、一定の要件を満たす資産を取得し、事業の用に供していること
    • 取得価額が一定金額以上であること(例えば、機械装置等は1台160万円以上など)
  • 節税効果: 早期に設備投資の費用を損金として計上できるため、課税所得を圧縮できます。税額控除を選択した場合は、直接的に法人税額を減らすことができます。
  • 注意点: 対象となる資産の種類や取得期間が限定されています。事前に税理士に確認しましょう。

中小企業向け所得拡大促進税制

制度の概要: 国内雇用者に対する給与等の支給額を一定以上増加させた場合、その増加額の一部を法人税額から控除できる制度です。

  • 誰に有効か: 積極的に従業員の給与を増やし、雇用拡大を目指している中小企業
  • 適用条件:
    • 青色申告書を提出する中小企業者等であること
    • 継続雇用者の給与等支給額が、前年度と比較して一定割合以上増加していること
    • 一定の要件を満たす国内雇用者の平均給与額が一定額以上であること
  • 節税効果: 人件費の増加額に応じて税額控除を受けることができるため、法人税負担を軽減できます。従業員のモチベーション向上にも繋がります。
  • 注意点: 雇用者数の変動や給与計算方法など、細かな適用要件があります。

交際費の全額損金算入(年800万円まで)

制度の概要: 中小企業が支出した交際費等のうち、年間800万円までの金額を損金として算入できる特例です。

  • 誰に有効か: 取引先との接待や贈答など、交際費の支出が多い中小企業
  • 適用条件: 資本金の額または出資金の額が1億円以下であること
  • 節税効果: 交際費を損金として計上できる限度額が拡大されるため、課税所得を圧縮できます。
  • 注意点: 交際費として認められる範囲には一定のルールがあります。個人的な飲食費などは対象外です。

欠損金の繰越控除制度(中小企業は100%控除可)

制度の概要: 事業年度に赤字(欠損金)が生じた場合、その欠損金を翌事業年度以降に繰り越して、黒字になった際の所得から控除できる制度です。中小企業の場合、繰越期間は10年間、控除限度額は全額となっています(大企業は原則として50%)。

  • 誰に有効か: 過去に赤字が出たことがある、または今後赤字が出る可能性のある中小企業
  • 適用条件: 青色申告書を提出していること
  • 節税効果: 将来的に利益が出た場合に、過去の赤字と相殺することで、課税所得を減らすことができます。
  • 注意点: 欠損金の繰越控除を受けるためには、確定申告書に欠損金額を記載し、一定の書類を保存する必要があります。

少額減価償却資産の特例(30万円未満)

制度の概要: 取得価額が30万円未満の減価償却資産については、事業の用に供した年度に全額を損金として算入できる特例です。

  • 誰に有効か: 比較的少額の設備や備品などを頻繁に購入する中小企業
  • 適用条件: 青色申告書を提出する中小企業者等であること
  • 節税効果: 通常、数年にわたって減価償却する資産を、購入した年度に一括で損金算入できるため、早期に課税所得を圧縮できます。
  • 注意点: 年間の合計取得価額が300万円までという上限があります。

軽減税率(15%:年所得800万円以下)

制度の概要: 中小法人の所得のうち、年800万円以下の部分については、通常の法人税率よりも低い15%の税率が適用されます(通常は23.2%)。

  • 誰に有効か: 年間の課税所得が800万円以下の中小企業
  • 適用条件: 資本金の額または出資金の額が1億円以下であることなどの要件を満たす法人
  • 節税効果: 所得金額に応じて低い税率が適用されるため、法人税負担を軽減できます。
  • 注意点: 年所得が800万円を超える部分には、通常の法人税率が適用されます。

研究開発税制の活用(要件を満たせば可能)

制度の概要: 中小企業が試験研究費を支出した場合、その一定割合を法人税額から控除できる制度です。

  • 誰に有効か: 新技術や新製品の開発など、研究開発活動を行っている中小企業
  • 適用条件: 中小企業者等に該当し、一定の要件を満たす試験研究費を支出していること
  • 節税効果: 研究開発に投資した費用の一部が税額控除されるため、法人税負担を軽減できます。技術革新を促進する効果も期待できます。
  • 注意点: 対象となる研究開発費の範囲や、控除率など、細かな適用要件があります。

制度を活用するために必要な準備と実務対応

これらの特例制度を実際に活用するためには、事前の準備と適切な実務対応が不可欠です。

顧問税理士との事前相談

どの特例制度が自社に適用できるのか、また、どのように活用すれば最も効果的なのかを判断するためには、税務の専門家である顧問税理士との事前相談が非常に重要です。自社の経営状況や今後の事業計画を共有し、最適なアドバイスを受けましょう。

制度に対応するための会計処理・証憑管理

特例制度の適用を受けるためには、それぞれの制度で求められる会計処理や証憑(領収書、請求書、契約書など)の管理を適切に行う必要があります。日頃から正確な会計処理を心がけ、必要な書類をきちんと保管しておきましょう。

税務調査に備えた書類保存の重要性

特例制度の適用を受けた場合、税務調査でその適用要件を満たしているかどうかを確認されることがあります。そのため、関連する書類は定められた期間、適切に保存しておくことが重要です。

税制改正による影響と最新情報のキャッチアップ

法人税の特例制度は、経済状況や政策目標に応じて改正されることがあります。そのため、常に最新の税制情報を把握しておくことが重要です。

2025年度税制改正での変更点

(2025年3月24日現在の情報に基づき、具体的な改正内容が不明な場合は、一般的な注意喚起として記述します)

2025年度の税制改正においても、中小企業向けの法人税特例制度について何らかの変更が行われる可能性があります。税制改正の内容は、政府の経済対策や社会情勢によって変動するため、最新の情報を常に確認するようにしましょう。税理士や関係省庁のウェブサイトなどで情報を収集することが大切です。

特例制度の廃止・変更に注意

これまで活用してきた特例制度が、税制改正によって廃止されたり、適用要件が変更されたりする可能性もあります。定期的に税理士と情報交換を行い、常に最新の状況に対応できるようにしておきましょう。

自社に合った制度を取捨選択する視点

数多くの特例制度の中から、自社にとって本当にメリットのある制度を見つけ出し、活用していくことが重要です。単に節税額が大きいという理由だけでなく、自社の経営戦略や事業計画との整合性を考慮しながら、最適な制度を選択するようにしましょう。

まとめ|特例制度を上手に使って、納税額を最適化する

今回は、中小企業が活用できる主な法人税の特例制度について解説しました。これらの制度を上手に活用することで、法人税の負担を軽減し、会社の資金をより有効に活用することができます。

使える制度を把握して、損をしない経営を

まずは、どのような特例制度があり、自社がその適用要件を満たす可能性があるのかを把握することが第一歩です。制度を知らないばかりに、本来受けられるはずの優遇措置を受けられないということがないように、しっかりと情報を収集しましょう。

制度は「節税」ではなく「経営戦略」の一部

法人税の特例制度は、単なる「節税」対策として捉えるのではなく、企業の成長戦略を後押しするための「経営戦略」の一部として捉えることが重要です。制度の活用を通じて、設備投資を促進したり、雇用を拡大したり、研究開発を活発化させたりすることで、企業の競争力強化に繋げることができます。

実行サポートが必要な場合は専門家に相談を

ご紹介した特例制度は、それぞれ適用要件や手続きが複雑な場合があります。制度の活用に不安がある場合や、どの制度が自社に最適なのか判断に迷う場合は、迷わず税務の専門家である税理士にご相談ください。専門的な知識と経験に基づいたアドバイスを受けることで、安心して制度を活用し、納税額を最適化することができます。

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